養殖へのこだわり

従来からの養殖方法(カルチ式)

過密養殖対策として、筏の規格や垂下本数を厳密に取り決めています。カルチ式と呼ばれるホタテ貝殻にを付着させたものを8m程度のロープに16~22枚くらい挟み、それを一場所(筏2台)で約150本ほど垂下しています。

また、7月末~9月にかけて、温湯処理という牡蠣を70℃前後のお湯に通し、ムール貝やフジツボや海綿体などの雑物を除去します。ほかの産地とは違い、出荷前の2年子だけでなく、春に仕込んだばかりの1年子もしっかりと湯通しすることで、他の雑物に栄養を取られずに、身入りの良い牡蠣を育成しています。

これらは、先代・先々代の漁師が試行錯誤を繰り返し、現在の規格や育成方法を構築し、市場で高い評価をいただく米崎牡蠣ブランドとして確立しています。

主にカルチ式は、形状を気にせず大きく育てられる加熱用むき身に向いています。

養殖改革:オーストラリア式牡蠣養殖を取り入れたシングルシード養殖

従来からの方法で、2年物以上の牡蠣を効率的に量産することが可能ですが、生食用の殻付牡蠣に求められる形状の良い牡蠣を作るには、なかなか難しいものがあります。また水揚後、一粒ずつにばらしたり、フジツボや雑物を除去する作業は、かなりの重労働であり、その中から均一な形状をそろえるのは大変な努力が必要です。

そこれ、稚貝の段階から一粒で育成し形状も比較的均一に揃えられるシングルシードに注力しています。シングルシードの育成方法も様々な方式がありますが、牡蠣の養殖で最先端をいくオーストラリア式バスケットを導入することで、従来の方法とは全く違った育成方法にて、均一な形状や素晴らしい身入りと、出荷サイクルの単年度化を可能としています。

オーストラリア式バスケットの特徴は、バスケットが波風を受けることで、中の牡蠣が転がり、ぶつかりながら育つことで、カップの深い丸みのある形状になり、ま転がったり擦れあったりすることで、牡蠣にストレスを与えることで貝柱が大きく身入りの良い牡蠣に育ちます。牡蠣同士が擦れあうことで、牡蠣自体に雑物が付かず殻掃除の手間が省け、美しい見た目になります。

参入しやすい環境づくり

漁業者が年々減ってきており、若い世代やU・Iターン者の新規参入を受け入れていかないと、漁場も維持できなくなってくると危惧されています。そこで参入しやすい環境づくりもしていかなければなりません。

従来のカルチ式では、3トン以上の漁船が必要で、新規参入するには、数千万円以上の投資が必要になります。

オーストラリア式バスケット養殖では、開口物などに使う1トン未満の小さな和船でも可能です。また漁場も延縄方式であればよいので、漁船の投資を抑えることができ、小規模から参入することが可能と考えています。

現状、廃業する生産者がいなければ漁場の空きはあまりないのですが、新規参入者が増えれば、新たな漁場を申請し設置することも可能になります。

SDGsへの参画と活動

私は、持続可能な社会目標の指針であるSDGsに参画し、それに準じた活動をしています。